平成元年5月







病みがちの母に求めし粽かな
    2年2月 春待つや母の病衣を洗ひつつ
      3月 暖かき一と間に母の爪を切る
      11月 通院の母に楽しき冬紅葉
      12月 病む母も替えて食ぶべし晦日蕎麦
       々 小春日の句会に母を残し来る
    3年2月 白梅の咲きて迎へし母の喜寿
      12月 著ぶくれし母伴ひて通院す
    4年3月 春寒を篭り三時の茶を母と
       7月 試歩さへもままならぬ母夕端居
      12月 母在(ま)せばこそ送られし林檎なる
    5年2月 病みつつも傘寿の母や春待てり
      々 心地よき母の眠りや春炬燵
      5月 母の日の母色白に老ひ給ひ
     10月 母看取る仮寝の夜の長きかな
      々 病院に母を残して秋の夜
     12月 欠席の忘年句会母看取る
 平成7年1月



死化粧を母にほどこす寒夜かな
      々 逝きし母の冷たき御足足袋履かせ
      々 死化粧の七種(ななくさ)の夜の母若き
      々 吾の膝に乗せし一壺の母ぬくし
      々 今日よりは母無き部屋よ冴へ返る
      々 今日よりは一人の昼餉小雪舞ふ
      々 声にして亡き母を呼ぶ寒の月
      2月 母逝きてその後の日々の冴へ返る
       々 逝きし母の在す気配して寒灯下
       々 喪にありて待たるる春の遅々として
       々 母亡きに慣れねばならぬ寒灯下
       々 思ひ出の母のアルバム寒灯下
       々 母逝きてはや七七忌日脚伸ぶ
       々 白梅の咲くを待ちたる母は亡く
       々 セーターの母の匂いの懐かしく
 平成8年2月





寒灯下母へ追慕の写経かな
      々 遺りたる母の鏡台梅二月
      々 母といふ暖かきもの今は無く
      々 春待つや仏となりし母守りて
      々 この梅の一枝を母に捧げたく
      3月 母看取ること無くなりて春灯下
      々 逝きし母の部屋深閑と春寒し
      4月 春愁や母の面影薄れざる
      7月 きりもなき母の思ひ出梅雨深し
       々 豆飯を好みし母の今は無く
       々 手に涼し母の残せし裁ち鋏
      8月 外したくなき表札や霊迎へ
       々 初盆の果てて淋しさ残りけり
       々 ちちははに我一人子よ墓洗ふ
 平成9年1月


亡き母の反古の小さき焚火かな
       々 新暦吊る母在さぬ部屋なれど
       々 母の座に母の在(おは)さぬ雑煮餅
       2月 母在(ま)さぬ部屋にも冬の日差しかな
       々 寝たきりの母にても欲し浅き春
       々 日表の庭梅真白母の忌よ
      5月 母の日の母在さぬ部屋掃き清め
       々 心経は母との会話母の日よ
       々 母の日の墓に鳥語のしきりなる
       々 母恋ふは女々しき事か花は葉に
      6月 母の夢続いて欲しや明け易し
平成10年1月

母の忌を修せし小春日も暮れて
       々 七種のその日忌日の母偲ぶ
      12月 ちちははの遺影と我や冬座敷
       々 父母眠る寺苑の山も眠りたる
平成11年5月 母の日の病室に母恋しかり
平成12年1月 母の忌を修してよりの寒さかな
平成13年8月 墓洗ふちちははの背を流すごと
       々 生き抜きし母の思ひ出涼しかり
平成15年1月 亡き母の味に似せたる雑煮かな
      2月 母と来し梅の小道を今一人
      6月 短夜や近寄りくれぬ夢の母
      11月 露の世の母の遺せし櫛使ふ


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