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2006年1月俳句
紙漉き工房にて











荒磯にて









雑詠


菰(こも)掛けて蒸せる楮(こうぞ)を守り剥ぐ
伝統を守(もり)て家業の楮蒸す
楮蒸す湯気吹き上げて大蒸篭(せいろ)
ラジオ聞き慣れし手順の楮剥ぐ
楮蒸す香を纏ひつつ作業人
慣れし手に一気に楮剥がれけり
四五本を足裏(あうら)に絡め剥ぐ楮
楮打つ木槌の音の工房に

岩礁に潮吹き上げて冬の海
一条の日矢射す島や冬の海
冬涛の沖の昏さを運び来る
磯宿に展がる冬の海暮るる
冬涛の島影黒く暮れ行ける
灯台の瞬き暮るる冬の海

著ぶくれしエレベーターのすし詰めに
お互ひに著ぶくれ居るを笑ひあふ
今日も又肩凝るほどに着膨れて
静けさの雪積む気配感じる夜
出来上がる七種(ななくさ)粥の湯気立てて
杖の身となりたる夫と年惜しむ
誰も来ぬことを頼みの寝正月
杖の身の夫ひたすらに春を待つ

          
2006年元旦
2006年元旦
出雲大社
出雲大社









2006年2月俳句
蝋梅









投扇興



水仙







雑詠
離れても蝋梅の香の消えやらず
蝋梅のみな下向きに香を放つ
寒禽の鳴きたる後の静寂(しじま)かな
起伏ある野面(のもせ)の梅を探りけり
静寂のなか笹鳴きに歩を潜め
笹鳴きに足を止めたる遊歩道

的はじく扇の色や投扇興
投扇に興じしよりの句会かな

匂ひ立つ水仙一花卓に置く
水仙花リハビリ室に匂ひ立つ
一茎の広間に香る水仙花
コーヒーと水仙の香の喫茶店

空と海分ち難かり冬霞
県境を過ぎ春雪の深まり来
冬霧の晴れ行く朝の奥石見
寒晴れの久しぶりなる日の光
目を開けて居れぬ輝き寒日和
君見舞ふ言葉失ひ冴へ返る
春待つや篤き病の君なれば
足元を選ぶ細道寒の月


                

雪の少ないこの地方もすっかり雪景色の今年でした。

白一色になった町
2006年3月俳句
萩へ旅






三隅梅林








下萌え









雑詠
大玻璃に萩六島や春の潮
辛夷咲く維新の町を訪ふ旅に
春雨に髪を濡らして露天湯に
夏みかん庭木となして萩城下

もう色の見分け付き初む梅探る
吸ふ息の深くなりゆく梅林
深山へと続く神域梅日和
ある無しの風筋に梅匂ひ来る
せせらぎの音の温みし寺苑かな

コーラスに通ふ道の辺草青む
下校子の遊ぶ公園草青む
道草をしつつ下校や草萌えて
旅心そぞろつのりぬ草青む
城山を掃きゐる人に下萌ゆる
下萌えの土に雨脚柔らかく

雲がかる大麻の山や春隣
城山へ続く細道落椿
この森を我が物として百千鳥
出かけたき心四温の海に置く
満ち潮の花の芽固き川辺かな
予定ある身にあなどれぬ春の風邪
坂上がりきれば余寒の風に会ふ
空襲で焼けし雛(ひいな)を偲びけり

          
萩城址
萩城址
萩菊が浜
ホテルより菊が浜を望む





奥石見の春景色
奥石見の春景色
2006年4月俳句
こもれび公園にて












浜田城址




六日市
かたくりの群生地


雑詠
芽吹き初む色柔らかき木立かな
芽吹き初む木立の果ての空真青
立ち上がりをりし土筆を踏むまじく
目路の先先へと続く土筆かな
咲き満ちて森彩りし花李
鶯のはたと止む時もの淋し
鶯の鳴き出せば森華やかに
膨らみを空に伸ばして桃の花
咲き切りてこぼれさうなる糸桜

咲き満つに間のある城址花冷えて
石垣の先の青空花城址
膨らみのはじけさうなる花大樹

かたくりの少しの風に花揺らす

海風に揺れて散り行く桜かな
ワイパーの拭えぬ花の二三片
雨傘も車も花の屑付けて
雨連れて霾(つちふれ)る日々山見えず
そこここの名所の増えし花見頃
舞ひ上がることも一景花吹雪



             
浜田城址の桜
浜田城の桜四分咲き
追懐の碑
司馬遼太郎の追懐の碑
カタクリの花
カタクリの花
カタクリの群生
カタクリ群生地
2006年5月俳句
雑詠









しまね花の郷






雑詠
忙しさに追われてをりぬ花は葉に
賑やかな棚田となりし初蛙
田から田へ高く渡してこいのぼり
鶯のさざなみ立ちしダム湖かな
若葉なす深山の川を遡る
あるなしの水輪を立ててあめんぼう

ひなげしの寄せ植え紅く白くかな
花圃に居て五月の風を思うさま
薫風よ鳥語よ花圃に心足り
チューリップ開ききったる日差しかな

サーファーの春潮に立ち上がりたる
諸葛菜辺りの風を染めにける
里と里繋ぐ街道山つつじ
鶯の確かな声音谷渡る
神の森盛り上がらせて樟新樹
鉄路址残りし里の柿若葉

         
紅藤
津田・観音寺の紅藤
しまね花の郷
しまね花の郷
しまね花の郷
しまね花の郷
2006年6月俳句
植田


江津・高角山





しまなみ海道
から四国は佐田岬へ
の旅







三瓶
姫逃池付近




同窓会へ
岩国錦帯橋
から宮島




浜田川の蛍

直線の少しゆがみし植田かな

人気無き山の鶯真近なる
人麿の祠は古りて夏薊
高角山初時鳥聞く日かな

十橋を渡るしまなみ夏の潮
夏潮は眼下三連橋渡る
夏潮の速き流れや佐田岬
船上に飛ばされまいと夏帽子
崎果ての砲台跡や夏の潮
麦秋の松山平野暮れなづむ
明け易を出でたる一と日旅終る

画学生散らばる池や杜若
草原の緑の中の汀子句碑
杜若揺れて水面の影揺れて

更衣して駅員の身軽なる
四人掛け薄暑の旅を楽しめる
錦帯橋渡り来る人白日傘
宮島の朱き回廊夏の潮

蛍居る気配の水の匂ひかな
初蛍一つ見つけしよりの数
初蛍水面に低く低くかな
数増して蛍の闇の深まり来
水音に和して河鹿の闇深し




             
佐田岬灯台船で行く佐田岬灯台
佐田岬砲台日本軍の砲台跡
錦帯橋錦帯橋
宮島安芸の宮島
三瓶姫逃池三瓶原・姫逃池
2006年7月俳句
三隅・龍雲寺










海浜公園









銅剣の里
荒神谷遺跡
古代はす





雑詠
仏具みな黒光りして梅雨の寺
龍の眼の吾を睥睨す梅雨の寺
梅雨の傘杖ともなさむ寺の磴
五月雨の描きし池の水輪かな
法の庭より抜け来たる風涼し
梅雨蝶の去りて寺苑を淋しめる
まひまひの輪か雨の輪か法の池


海風に向かひ止まり夏あかね
潮騒の眠気を誘ふ音涼し
海風や崖一面の七変化
母と来し紫陽花の道今一人
浜昼顔やさしき彩を展げたる
老鴬の潮騒に和す声近し

二千年経ちたるはちす今盛り
見頃今日までと人出の古代はす
古代はす腰をかがめて撮影す
蓮に人群れて荒神谷遺跡

梅雨烟る街夕闇に沈み行く
吹き上げる海の涼風来る城址
目を離す間に様変り雲の峰

          
三隅・龍雲寺
三隅町・龍雲寺
海浜公園の紫陽花
浜田海浜公園の見事な紫陽花
荒神谷遺跡の古代蓮
荒神谷遺跡に咲く古代はす
2000年の眠りから覚めて・・・・
2006年8月俳句
雑詠








花火大会




駅頭風景




邑南町
(奥石見のホテルに泊)
梅雨明けの真近き空の青さかな
まだ小振りなる青栗の棘やさし
朝蝉のまだ乗り切らぬ声弱し
祈りより始むる一と日原爆忌
朝顔のみなぎる力貰ひけり

花火茣蓙始まるまでに疲れ居し
花火茣蓙土のぬくもり伝はり来
烏賊舟の灯の見え初めし海暮色

帰省子の郷(さと)への土産重たけれ
出迎えの窓に手を挙げ帰省バス

一声の後を待ちゐる時鳥
固まりて来る涼風に去りがたく
今朝の秋山のホテルに迎へけり
山の気を胸いっぱいに今朝の秋
夏霧の籠め来る朝や奥石見

           
あさがお
朝顔
夏霧
夏霧籠めし奥石見
2006年9月俳句
梨狩





浜田城址










秋扇




秋涼し




里の秋
梨園のナイフ切れよく梨を剥く
梨を食ぶ梨の葉ずれを聞きながら
刃の先に汁の滴る梨を剥く

赤とんぼ見上げし空の青さかな
足弱にこたへし磴や秋暑し
秋めきし風に佇む城址かな
城山をすっぽり包む秋の蝉
鳴き続くことのはかなさ秋の蝉
幾通り変はる声色法師蝉
秋蝶の連れ舞ひをりし天守址

片時もまだ手放せぬ秋扇
途切れたる会話の合間秋扇

城山は鳶の舞ふ空秋涼し
主治医との会話も治療秋涼し
デイケアへ夫送り出す秋涼し

出来秋の里は静かにひそとあり
イナバウアーさへも案山子の一群に
里や今案山子祭りの華やぎに
               
旭町の梨園
旭町の梨園にて
天守閣より日本海
天守址より日本海を望む
案山子群
佐野町宇津井の案山子群
2006年10月俳句
北海道旅行
稚内・利尻
礼文
宗谷岬
富良野





















こもれび
公園





邑南町
いこいの村へ2度目の
宿泊
(朝霧を見るため)
秋の雲抜け天空は日本晴
黄昏るるサロベツ原野月出でて
暮れて着く秋冷の街北の果て
利尻富士現れて正面秋入日
利尻富士影残しつつ秋暮るる
利尻富士見遣り礼文へ秋の潮
異国めく礼文の家並秋めいて
秋霖の北の果てなる島泊り
芒丈低しと北の島巡る
サハリンの島影見ゆる秋日和
秋澄みて島影見ゆる岬に佇つ
秋潮の岬廻ればオホーツク
旭岳遥かに望むまで稲田
大雪の峰の裾へと稲筵
豊穣の北の大地の天高し
北紀行より戻る身に秋暑し

公園に眠気を誘ふ昼の虫
雲流れ去り秋天を残したる
秋の森どこか賑やか鳥語して
日溜りに座し爽やかな風に逢ふ

霧の里見下ろす山のホテルかな
朝の日にゆるゆる動く霧の里
朝霧の晴るる早さを見下ろして

          
機上より
j機上より
スコトン岬
礼文島スコトン岬
富良野ガーデン
富良野ガーデンよりの眺め
朝霧
朝霧
2006年11月俳句
雑詠 日翳れば山の気深む暮の秋
眠気来る背なに小春日当ててより
散り敷きて彩なす桜紅葉かな
青空に伸びたる大樹もみづれる
すがるるもまだ山萩に残る花
椎の実を噛んで昔を懐かしむ
椎拾ふ一粒よりの広がりに
まだ色の美しきを残し末枯れす
ログハウスまでの細道草紅葉
のんびりと水車の音や里小春
朝の日に深山の露の輝けり
大木の高さを舞うて散る木の葉
一面の草の紅葉や天守址
城壁に彩り映す蔦紅葉
冬近き潮騒耳に天守址

          
木口古兵像
浜田城址・木口小兵の像
(死んでもラッパを離さなかった事で有名になった)
秋の浜田城址
秋の浜田城址
2006年12月俳句
安来
足立美術館

母13回忌


こもれび公園












浜田松原湾
薬膳を味はう宿や冬紅葉
お茶席の苔の間に間に冬紅葉
母の忌を修してよりの夕時雨
冬木立鳥語の移りゆく城址
梢より風の降り来る冬日和
落とすものすべて落として大冬木
落葉散る次への命繋ぎつつ
落葉掻く音深閑とせし森に
どんぐりを拾ふ眼となる親子連れ
風はたと落ちてとどまる寒さかな
じっとして居れば寒さの這い上がる
落葉道乾きし音を踏みにけり
冬草の青く日差しを恋ひをりぬ
鏡凪割りて船行く冬日和
釣り人のみな著ぶくれて寡黙なる
          
冬紅葉足立美術館入り口の冬紅葉
クリスマス飾り民家のクリスマス飾り