リハビリとパソコン

リハビリは言語、作業、理学の3科目あり、それぞれ専門の療法士が付く。作業は主に腕や手先の訓練、理学は主に歩行訓練である。午前中1科目、午後2科目ある。主人にとっての1日は結構忙しかったが、パソコンが来てからというもの、入院生活になにやら張りが出たように見受けられた。日記のほかにエクセルで訓練、食事の献立、血圧などの記録も取っているようであった。今日、どんな訓練をしたかが記録として脳に再確認され、明日のリハビリへの準備材料ともなる。「左手が思うに任せず、違うキーをたたくんだ。」と言いながらも段々まとまりのある文が書けて来た様に思う。動かなかった左手で、ご飯茶碗を持って食事が出来る様になっていった。とは言うものの、手っ取り早いせいかほとんど動く右手でキーを打つ。私もあまりやかましく言わないように自然に任せるようにと気を配った。「パソコン習っておいて良かったよ。病気になってからではもう出来ないよ。」とも言ったが、たとえ同じような文章でも毎日継続するということが、こんなにも大切で素晴らしいことだと、私は主人に教えられた。そして眼に見えない速度で自然にリハビリになってゆくのだと思った。歳とって社会に後れないようにと、共々に始めたパソコンだったが、こんなところで役立つことになった。主人にとってのパソコンは入院生活に欠かせないものになっていったようである。

       春待つやリハビリ杖の夫支へ
 
       病室の夫に友出来日永かな

嬉しいことに主人は杖をついて、ゆっくりではあるが歩けるようになり、4ヵ月後の4月末に退院の日を迎えた。退院してからも闘病記はパソコン日記と名前を変え、続けられることと思う。退院後はインターネットで障害者でも行けるところを検索したり、パソコン将棋も昔通り始めるだろう。
「朝顔は朝咲くと思われているけれど、夜露に耐えた夜があるから開く」という。
「冬来たりなば春遠からじ。」
  
  退院の頃には、寒さも和らぎ木々が芽吹く。私は5月に出演するアカペラーズのソプラノパート「モルダウの流れ」を歌いながら、通いなれた病院へ1時間の道のりのハンドルを握る。

 「ママ、パソコンのお陰で退屈しなかったよ!」
 「パパ、これから文字通り2人3脚よ。前向きにね!」

   退院の夫に眩しき若葉かな

   以上退院までの記録 平成17年6月記: おわり